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行政書士 藤田法務事務所
代表 行政書士 藤田武則
千葉県行政書士会所属
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遺言とはは、一般的に人が自らの死後のために遺した言葉や文章のことです。ゆいごんと読まれることが多いのですが、死後の法律関係を定めるための最終意思の表示をいい、法律上の効力を生じせしめるためには、定められた方式に従わなければなりません。遺言は、法律的には、相手のない単独行為ですが、民法に定める要式行為ですから、それに違反する遺言の場合は原則として無効となります。
遺言能力
(1) 満15歳以上の者は遺言をすることができます。
(2) 遺言は本人の最終意思を確認するもなので、当然代理に馴染まない行為です。未成年者・成年被後見人・被保佐人・被補助人が遺言をする場合であっても、その保護者は同意権や取消権を行使することができません。ただし、成年被後見人については、医師2人以上の立ち会いの下で正常な判断力の回復が確認された場合にのみ、遺言をすることができます
遺言で指定できること
遺言の最も重要なことは、遺産の処分について被相続人の意思を反映することですから、遺産の全体又は個々の遺産を誰が受け継ぐかについて自らの意思を反映させることができます。そして、遺贈という方法により、相続人以外の者に遺産を与えることも可能となります。
遺言がない場合は、通常相続する手続としては、相続人全員で共同して遺産分割協議書を作成し、登記所、金融機関などに提出することになるのですが、相続人の間で合意が得られない場合や、相続人が行方不明となっていたり、遠方に居住している場合などには、遺産分割協議書の作成が円滑に行えないなどの困難な状況が生じたりして、相続税の申告期限(10カ月以内)に分割が確定しない事態になった場合)に間にあわなくなりl、税制面での各種の軽減特例を受けられなくなる等、手続面でデメリットが生じることもあります。
遺言でどの財産を誰に相続させるかを明確に記載されていれば、その相続人は不動産の所有権移転登記を単独で行うことができます。また、遺言で遺言執行者を指定することにより、預貯金の払戻しを円滑に行うこともできるなど、遺言には、相続に関するさまざまな手続に関する遺族の負担を軽減できるという利点があります。以下、民法等の法律で規定されている主な遺言事項を整理しますと以下のとおりです。
遺言の方式
遺言の方式には普通方式遺言と特別方式遺言があります。普通方式の遺言には、次の3種類があります。
普通方式遺言
(1) 自筆証書遺言 有効な遺言書の条件
自筆遺言書の保管者は、相続の開始を知った後、遅滞なく、これを家庭裁判所に
提出し検認を受けなければなりません。
(2) 公正証書遺言
遺言内容を公証人に口授し、公証人が証書を作成する方式です。証人2名と
手数料が必要です。推定相続人・受遺者等は証人となれません。
公証人との事前の打ち合わせを経て行うため、内容の整った遺言を作成すること
ができます。
遺言者の署名と押印は必要です。証書の原本は公証役場に保管され、遺言者には
正本・謄本が
交付されます。家庭裁判所による遺言書の検認は不要です。
(3)秘密証書遺言
遺言内容を秘密にしつつ公証人の関与する方式です。証人2名と手数料の用意が
必要です。
推定相続人・受遺者等は証人となれません。代筆やワープロ打ちも可能ですが、
遺言者の署名と押印は必要であり、その押印と同じ印章で証書を封印します。代筆の場合、証
人欠格者以外の人が代筆する必要があります。遺言者の氏名と住所を申述したの
ち、公証人が証書提出日及び遺言者の申述内容を封紙に記載して、遺言者及び証
人と共に署名押印します。遺言書の入った封筒は遺言者に返却されます。
自筆証書遺言に比べて、偽造・変造のおそれがないという点は長所ですが、
紛失や発見されないおそれもあります。相続の開始を知った後、遅滞なく、家庭
裁判所の検認を受けなければなりません。
普通式遺言のほか、特別方式の遺言には危急時遺言、隔絶地遺言という遺言が
あります。
遺言撤回の自由
遺言が遺言者の最終の意思を確認するものであるという本質から、遺言者は、いつでも遺言の方式に従って、その遺言の全部または一部を撤回することができます。また、遺言者は、その遺言を撤回する権利を放棄することができないものとされています。
遺言書の検認・開封
遺言の保管者や発見者は相続開始を知った後、遅滞なく家庭裁判所に提出して、その検認を請求しなければならなりません。検認は遺言書の存在を確定し現状を保護するために行われる手続ですが、遺言書の有効・無効という実体上の効果を左右するものではありません。なお、公正証書遺言については検認を要しません。また、封印のある遺言書は、家庭裁判所において相続人またはその代理人の立会いがなければ、開封することができません。
遺言執行者
(1) 遺言により遺言執行者が指定されている場合又は指定の委託がある場合は、遺言執行者が就職し、直ちに任務を開始します。子を認知することや相続人の廃除及びその取り消しを除いては、遺言執行者がなくても相続人が遺言の内容を実現することが可能ですが、手続を円滑に進めるためには、遺言執行者をあらかじめ指定しておく方がよいと考えられます。
(2) 遺言執行者は、未成年者及破産者以外であれば相続人でも成れますが、いないときは、家庭裁判所は利害関係人の請求によって、遺言執行者を選任することができます。遺言執行者は遺言に定めた報酬又は家庭裁判所の定める報酬を受けることができます。
(3) 遺言執行者は相続人の代理人とみなされ、やむを得ない事由がなければ、第三者にその任務を行わせることができません。 遺言執行者が数人いる場合には、その任務の執行は、原則として過半数で決することになりますが、保存行為は、単独でも行うことすることができます。
(4) 不動産の登記については、遺贈の場合遺言執行者が登記義務者です。しかし、「相続させる」旨の遺言の場合は、判例により相続開始時に承継されたとみなされますので、相続人が単独で登記することができるため、遺言執行者は関与しないことになります。